こんにちは。宇都宮の「きくち整骨院」院長、菊地和則です。
立ち上がるときや荷物を持ち上げるとき、さらには寝返りを打つときなど、腰の痛みに悩んでいませんか?
腰痛は日常生活を妨げる大きなストレスであり、日本人が自覚する不調の第1位でもあります(出典:厚生労働省「令和4年 国民生活基礎調査」)。
この記事では、これまで延べ5万人を施術してきた私の経験をもとに、腰痛の種類や原因を解説し、痛みを和らげるための具体的な方法をご紹介します。腰痛を抱えた生活から解放される第一歩として、ぜひ参考にしてください。
腰痛の種類と特徴

慢性腰痛
3か月以上続く腰の痛みを指します。筋肉や関節の問題だけでなく、ストレスや生活習慣も深く関わります。
鈍い痛みや持続的な違和感が特徴で、日常生活に大きな影響を与えます。
※この記事は、主に慢性腰痛でお悩みの方に向けています。
急性腰痛(ぎっくり腰)
突然の動作や負荷で発生し、鋭い痛みや動作制限を伴います。通常は1週間〜10日ほどで自然に回復しますが、放置すると慢性化や再発の原因となるため、整骨院での治療をおすすめします。
特定の疾患による腰痛
特定の疾患による腰痛もあります。椎間板(ついかんばん)ヘルニアや脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)などは、神経の圧迫によって起こる腰痛です。これらの疾患は、特定の部位に集中した痛みや、脚にかけての痺れを伴うことも多くなっています。
以下の症状は整骨院で対応が可能です
- 足の痛み
- お尻や足のしびれ
- 歩行時に出るしびれ
以下の症状がある場合は病院に行きましょう
- ・尿漏れや失禁
- 下半身の感覚が鈍い・麻痺がある
- 排尿・排便が困難
腰痛の原因とは?

慢性腰痛の原因はさまざまですが、大きく分けると次の3つが考えられます。
1. 筋肉の問題
筋肉の過緊張や炎症、筋膜の異常などによって腰痛が起こります。
例えば、長時間のデスクワークや立ち仕事、無理な姿勢、急な動作などは筋肉に大きな負担をかけ、痛みの原因になります。
2. 精神的なストレスや過度の疲労
ストレスが溜まると筋肉が緊張し、血流が悪くなります。その結果、疲労物質がたまり、筋肉がさらに硬くなり痛みを引き起こします。
また、過労によって筋肉が炎症を起こすことでも腰痛は悪化します。
3. 関節や骨の問題
椎間板(ついかんばん)ヘルニアや脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)などは、関節や神経の圧迫によって強い腰痛を引き起こします。
また、骨粗しょう症により骨が弱くなることも腰痛の原因となります。
実は間違っている腰痛の知識

腰痛については、多くの方が誤解されています。ここでは、患者さんからよく聞く「間違った思い込み」と、その正しい考え方をご紹介します。
腰痛の原因は腰にある
腰が痛いと、どうしても腰だけに原因があると思いがちです。
しかし実際には、股関節や胸郭(背骨・肋骨・胸骨でできた胸まわりの構造)の動きが悪いために、腰に負担がかかっているケースも少なくありません。
腰痛改善には、腰そのものだけでなく、股関節や胸郭の動きを良くすることが大切です。
歳だから仕方がないよね
加齢とともに腰痛のリスクが高まるのは事実です。しかし、適度な運動や適切な治療など、きちんとケアや予防策を講じることで、年齢に関係なく腰痛を予防・改善することは可能です。
「歳だから仕方ない」と諦める必要はないのです。
安静にしていれば治るでしょ
痛みが出ると動かさない方がいいと思いがちですが、安静にしすぎると一部の筋肉が弱り、身体のバランスが崩れてしまいます。すると他の筋肉が過剰に働き、かえって痛みが悪化することもあります。
適度な運動やストレッチを取り入れることが、腰痛改善の近道です。
薬を飲んだら治った/湿布を貼ったら治った
薬や湿布は一時的に痛みを和らげる効果はありますが、根本的な解決にはなりません。
腰痛を改善するためには、生活習慣の見直しや適切な治療が必要です。薬に頼りすぎないことが大切です。
腰痛に効果的なストレッチや筋トレ
腰痛の改善には、ストレッチが欠かせません。ライフスタイルや体力に合わせて取り入れてください。また、エクササイズを行う際は、無理のない範囲で行い、痛みを感じたら中止してください。
ストレッチ
筋肉が硬くなると血流が悪くなり、酸素が届きにくくなります。すると筋肉はさらに硬くなり、痛みや動きの制限につながります。ストレッチを行うことで血流が促進され、筋肉に酸素がしっかり行き渡ります。その結果、筋肉が柔らかくなり、動きの悪かった関節もスムーズに動くようになります。
つまり、ストレッチは腰への負担を減らす効果的な方法なのです。
腰痛予防・改善のためには、特に太ももの筋肉を伸ばすことが重要です。太ももの筋肉は股関節を大きく動かす役割を担っています。ここが硬くなると股関節の動きが制限され、結果的に腰に余計な負担がかかってしまいます。
太ももをしっかり伸ばし、股関節の動きを改善して、腰痛対策をしましょう。
前もものストレッチ

①正座をして、片方の足だけ伸ばす
②曲げたままの足を外側に少し開く
③上半身を伸ばしている足の方にひねり、手を遠くにつく
もも裏のストレッチ

①立った状態で膝を伸ばし、足を椅子の上にのせる
②背中を丸めないように注意しながら、お辞儀をするように上半身を倒す
胸郭の動きやすさUP

①横向きに寝て膝を曲げる
②下側の手で膝を抑えて、反対の腕を円を描くように回す
③余裕があれば、指先を見て顔も一緒に回すとより効果的
筋トレ
お腹や腰のまわりには、体幹をコルセットのように取り囲む筋肉があります。
- 前側:腹横筋(ふくおうきん)
- 後ろ側:多裂筋(たれつきん)
- 下側:骨盤底筋(こつばんていきん)
- 上側:横隔膜(おうかくまく)
- 両側:内腹斜筋(ないふくしゃきん)・外腹斜筋(がいふくしゃきん)
これらの筋肉がバランスよく働くことで、身体の内側から腰をしっかり支えることができます。
しかし、筋肉がうまく働かなかったり、一部だけが過剰に使われると、身体のバランスが崩れて腹圧(お腹の内側の圧力)が低下します。腹圧が弱まると腰の安定性が失われ、腰痛の原因になるのです。
だからこそ、腹筋や背筋を中心に体幹をバランスよく強化することが大切です。どちらか一方ではなく、両方を鍛えることで腰を守る天然のコルセットが完成するのです。
腹筋のエクササイズで代表的なのは、クランチやプランクです。
これらは腹筋全体を効率よく鍛えることができ、体幹の安定性を高めて腰への負担を軽減します。
背筋を鍛えるには バックエクステンション や ヒップリフト が効果的です。
背中の筋肉をしっかり働かせることで、姿勢が崩れにくくなり、腰のサポート力が強まります。
クランチ

①仰向けになり、膝を直角に曲げ、足を床につける
②5秒かけて、頭→背中→腰の順に背骨をゆっくりと丸めながら、おへそを覗き込むように上体を持ち上げる
③同じスピードでゆっくりと元の姿勢に戻す
勢いをつけずに、背骨を一つずつ動かすイメージで行うことが大切です。
プランク

①両肘とつま先を床につけ、頭から膝までを一直線に保つように身体を支える
②お腹に軽く力を入れて、体幹を安定させる
疲れてくると、腰が丸まったり反ったりしてバランスが崩れやすくなります。その場合は、無理せずに休憩を取り、正しい姿勢を維持できる時間に調整して行いましょう。
バックエクステンション

①うつ伏せになり、両手を頭の後ろで軽く組む
②ゆっくりと上半身を持ち上げ、そのまま5秒間キープする
③5秒かけてゆっくりと上半身を下ろす
腰を反りすぎないように、お腹に軽く力を入れて体幹を安定させましょう。
鎖骨と胸骨を床から引き離すイメージで行うと、背中の筋肉をしっかりと使うことができます。
ヒップリフト

①仰向けに寝て、膝を直角に曲げる
②膝から肩までが一直線になるように、5秒かけてゆっくりとお尻を持ち上げる
③5秒かけてゆっくりと元の姿勢に戻す
背面の筋肉が弱い人は、前ももの筋肉を使って股関節を伸ばし、お尻を持ち上げてしまう傾向があります。そうすると、お尻の筋肉にしっかり刺激が入らず、腰を反らせてしまう原因になります。
お腹にしっかりと力を入れ、腰が反らないように注意してください。かかとでしっかり地面を蹴ってお尻を持ち上げることで、お尻の筋肉に効きやすくなります。
日常生活で意識するポイント

腰痛を予防するためには、日常生活における姿勢や動作も意識しましょう。まず、正しい姿勢を保つことが大切です。そして、長時間同じ姿勢でいることを避け、適度に休憩を挟むようにしてください。
デスクワークなどの座り仕事のとき
座っているときは、次のことを意識してください。
- 背筋を伸ばす
- 椅子の背もたれにしっかりと寄りかかる
- 足をしっかりと床につける
- 膝が直角になるようにする
長時間座っていると、だんだんと姿勢が崩れ、猫背になってしまう人が多いです。
猫背の状態が続くと、姿勢を支える背中側の筋肉が弱まり、胸・腹部などの前側の筋肉は硬くなって伸びにくくなり、さらなる姿勢の悪化を招きます。結果として腰に余計な負担がかかり、腰痛につながるリスクが高まります。
日常生活の中で正しい座り方を心がけるだけでも、身体への負担を大きく減らすことができます。ぜひ、日々の習慣として意識してみてください。
立ち仕事のとき
以下の5つのポイントが横から見て一直線になるように立つことで、筋肉に負担をかけず、骨で身体を支える正しい姿勢を保つことができます。
- 耳たぶ
- 肩峰(肩甲骨にある骨の突起)
- 大転子(足の付け根の外側へ突出した部分)
- 膝蓋骨後面(膝のお皿の少し後ろ)
- 外くるぶしの少し前
立ち仕事をされている患者さんによく見られるのが、股関節を前に突き出すように立っている姿勢です。このような立ち方を続けていると、股関節が前に出ているため太ももの裏側の筋肉が緊張しやすくなり、同時に骨盤が後ろに傾くことで腰が反った姿勢になりがちです。その結果、背中の筋肉にも負担がかかり、常に緊張した状態になります。
このような姿勢が習慣になると、股関節の動きがスムーズにいかなくなったり、腰への負担が増して腰痛へとつながりやすくなります。
また、もう一つよく見られるのが、左右どちらかに体重をかけて立つクセです。片側に体重をかける立ち方を続けていると、体重が乗っている側では股関節の内側の筋肉が硬くなり、反対側では股関節の外側の筋肉が硬くなってしまいます。そうなると、股関節の可動域が狭くなるため、腰に負担がかかりやすくなり、これも腰痛の原因となります。
日常生活の中で何気なくとっている立ち姿勢が、実は体に大きな影響を与えていることは少なくありません。股関節の位置や身体の重心を意識しながら、できるだけバランスの取れた姿勢を心がけることが、腰の負担を減らすためには重要です。少し意識を変えるだけでも、腰痛予防に大きく役立ちますので、ぜひご自身の立ち方を見直してみてください。
重いものを持ち上げるとき
重いものを持ち上げるときは、次のことを意識してください。
- 股関節と膝を曲げて持ち上げる
- 腰を曲げない
重いものを持ち上げるとき、多くの人が無意識のうちに腰だけを曲げて持ち上げようとしてしまいます。しかしこの動作は、腰が過度に反る方向に力がかかってしまうため、腰や背中の筋肉に大きな負担を与える原因となります。その結果、筋肉を痛めてしまったり、ぎっくり腰のような急性の腰痛を引き起こすリスクが高まります。
このようなトラブルを防ぐためには、持ち上げる際に膝をしっかりと曲げることで、自然と股関節も曲がり、身体全体を使って動作ができるようになります。腰だけに負担を集中させず、下半身の筋肉や体幹をうまく使うことで、身体にかかる力を分散させましょう。膝・股関節・腰をバランスよく使って身体全体で支えることで、ぎっくり腰などの予防につながります。
寝るとき
腰痛の予防や改善には、日中の姿勢だけでなく、寝るときの姿勢にも注意が必要です。
- 仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションを置く
- 横向きで寝る場合は、膝の間にクッションを挟む
- 硬すぎず柔らかすぎないマットレスを使う
仰向けで寝るときに膝の下にクッションを入れると、股関節と膝が軽く曲がった状態になり、腰の反りが緩やかになります。これにより、腰にかかる緊張や圧力をやわらげることができます。
横向きで寝る場合も、膝の間にクッションを挟むことで、骨盤や腰への負担を軽減することができます。
クッションのサイズは、大きすぎても小さすぎても股関節が不安定になりやすいため、10cm程度の厚みのものが適しています。
マットレスの硬さも腰への影響が大きいポイントです。柔らかすぎるマットレスは腰が沈みやすく、猫背のような姿勢になり、腰に負担がかかってしまいます。また、沈み込みすぎないよう身体に無意識に力が入るため、腰にも緊張が残ってしまいます。
一方で、硬すぎるマットレスではお尻に圧力が集中し、圧力を分散できないため、腰痛のリスクを高めてしまいます。
身体をしっかり支えながら、適度に沈むマットレスを選ぶことが、腰への負担軽減につながります。
寝姿勢は、無意識のうちに何時間も取り続けるものだからこそ、少しの工夫が大きな差につながります。朝起きたときに腰が重い、疲れが取れないと感じる方は、ぜひ一度、寝る姿勢や寝具を見直してみてください。
腰痛の改善や予防のための生活習慣の見直し

腰痛の改善や予防のために、生活習慣も見直してみましょう。
適度な運動
ウォーキングやストレッチ、トレーニングなどの運動は行っていますか?
適度な運動を日常的に取り入れることで、筋力を維持することができます。
筋肉は身体の土台を支える役割があり、特に腰周りの筋力がしっかりしていると、腰にかかる負担を分散してくれます。逆に筋力が弱いと、骨や関節に余計な負担がかかりやすく、腰痛が起こりやすくなるため、筋肉を鍛えることが腰痛予防には欠かせません。
体重管理
体重はコントロールできていますか?
過体重になると、腰が支えなければならない重さが増えるため、腰への負担が大きくなります。特に腹部に脂肪がつくと腰が反りやすくなり、その結果、腰にかかる負担がさらに増してしまいます。バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせて、体重をコントロールすることが必要です。
適正体重の計算方法は、「身長(m)×身長(m)×22」で求められますので、ご自身の目安にしてみてください。
ストレス管理
ストレスを溜め込んでいませんか?
ストレスが溜まると筋肉が緊張しやすくなり、血流が悪くなってしまいます。その結果、筋肉の疲労が蓄積し、腰痛を引き起こすことがあります。腰痛予防や改善には、趣味に没頭したり、推し活を楽しんだりと、自分なりのストレス解消法を見つけることも大切です。
私は、子どもと出かけたり、妻の実家で野菜を収穫して遊んだりすることで、リフレッシュしています。
腰痛の治療法

腰痛を改善するためには、適切な治療も欠かせません。ストレッチや筋肉の柔軟性を高めて血行を良くすることも重要ですが、特に股関節と胸郭(肋骨周り)を重点的に動かすことで、痛みの軽減が期待できます。
これまでにご紹介したセルフケアに加え、整骨院での治療やメンテナンスを受けることで、腰痛の早期改善や腰痛になりにくい身体づくりが可能です。
宇都宮のきくち整骨院では、患者さま一人ひとりの腰痛の原因や症状に合わせた整体マッサージを行っています。
腰痛に悩む方への整体マッサージの流れ
1. カウンセリングと検査
腰の痛みがいつから始まったか、きっかけは何か、どのような状況で痛みが強くなるのか、しびれの有無など、具体的な症状を詳しく伺います。また、痛みの場所や強さ、頻度、筋肉の硬さの状態を確認します。これにより、腰痛が急性か慢性か、整骨院での施術が可能か、または病院での検査や治療が必要かどうかを判断し、適切な施術を行うことができます。
整骨院での施術が可能な場合は、日常の生活習慣や姿勢についても伺い、一人ひとりにあわせた最適な施術プランを組み立てます。
2. 施術
カウンセリングと検査の結果を踏まえて、整体やマッサージ、ストレッチ、運動療法などを組み合わせ、腰痛の原因に合わせて柔軟に対応します。
腰痛は股関節と胸椎の動きを改善させることで大幅に軽減できるため、股関節を動かす筋肉と肋骨につく筋肉を柔らかくすることに重点を置いて治療を行います。
3. アフターフォロー
腰痛を予防するために必要なストレッチや運動、筋力トレーニングの方法をお伝えし、日常生活で腰を守る習慣づくりをサポートします。
まとめ:腰痛は正しい理解と適切な対策で改善できる!
今回は腰痛の直し方を紹介しました。腰痛は多くの人が経験する身近な悩みですが、種類や原因を正しく理解し、適切な対策を取り入れることで改善が期待できます。
- ストレッチやエクササイズをする
- 日常生活における姿勢や生活習慣の見直し
- 整骨院での治療やメンテナンス
ご自身の体力や体調、ライフスタイルに合わせて、無理のない範囲でできることから少しずつ実践してみてください。継続することで、腰痛の改善や再発予防につながります。
腰痛に負けず、快適な毎日を目指しましょう!

きくち整骨院 院長/柔道整復師
帝京平成大学を卒業後、栃木県塩谷郡の深澤クリニックにて3年間勤務。その後、栃木県那須郡の佐藤接骨院にて7年間、うち4年間は院長として勤務。その間に延べ5万人に施術し、ジュニアオリンピック選手も担当。
2025年1月、宇都宮市戸祭にきくち整骨院を開院。手技療法×運動療法で慢性痛にアプローチする、医師も通う整体。




